以前は、製造から30年と言うのは、世間からクラシックカーとして認められたと言っても過言ではない、一つの節目の歳であった。しかし、30歳を超える車が増え続ける中、政治家の間では30年を迎えた車が必ずしも、文化遺産に適しているとは言えないのではないだろうか?という声が上がって来ている。例を上げられたのはMercedes Benzのゲレンデワーゲン(Gクラス)である。個人的には、この車が作り続けられる事は嬉しく思うし、個人的にはベンツが世の中に送り出した一つの名車、すなわち文化遺産であると私は認めている。
クラシックカー界に、何時しかヤングタイマーという言葉が生まれ、最近ではヤングタイマー雑誌も出て来るほどである。ヤングタイマーとはオールドタイマーの予備軍で、生産を中止した型落ち車からクラシックカーの間の車の事を言うが、傾向として製造から20年〜30年経った車に用いられる事が多い。本来ヤングタイマーは、何時しかオールドタイマーというカテゴリーに移行しなければならないのは当然である。では、この定義でポルシェを見てみると、今年2014年に30歳になった車は1984年のポルシェである。そして今年20歳を迎える車は1994年式のポルシェである。しかしヨーロッパではオールドタイマーのポルシェというのは1973年までのポルシェの事を指している。
ドイツではG-Modellという呼び名が付いている1974年から1989年まで製造されていた911。89年式の最終モデル(25歳)は、まだクラシックカー域に達していないヤングタイマー車だと言える。もちろんポルシェマニアの間では、1974年に作られた911と1989年に作られた911は全く別物なのだが、その意見は大衆では認められていない。クラシックカーの1973年式911、ヤングタイマーの1974年式911。今年40歳を迎えた1974年式が、クラシックカーと言うカテゴリーに入れてもらえないのは、あまりにも理不尽で有る。ただし、そこにはやはりデザイン的な壁がある事は、どのポルシェ愛好家も認めている事だ。
そんな、GーModellであってもかならず何時しか大衆からもクラシックカーとして認められる日が来るであろう。しかし、それが10年後なのか、20年後なのか、それともヤングタイマーという言葉は80年代の車の呼び名として一生定着する事も無いとは言い切れない。いずれにしても、1973年は大きな節目である事は今後も変わらないであろう。

Mercedes Benz Gクラス Quelle:Wikipedia

ポルシェ911 G-Modell 1974年以降のスタイル Quelle:Wikipedia

ポルシェ911 1973年までのスタイル(車両:1964年式) Quelle:Wikipedia